海外出店の店舗レイアウトを、現地の図面と面積の単位から考える
図面は英語、面積は平方フィート。日本の店の席配置が入るかは、置いてみるまで分かりません。現地の図面に縮尺を合わせ、坪・m²・sq ftを行き来しながら、本部と現地が同じ画面で配置を詰める手順をまとめました。
読み替えは縮尺合わせの1回で済ませる
海外の図面は現地の設計事務所や大家からPDFで届き、表記は英語です。寸法はメートル法が多いものの、フィート・インチが混ざる国もあります。単位と言葉の読み替えに追われると、肝心の「日本の標準店の配置が入るか」の検討が後回しになります。
図面を読み込み、寸法の分かる1か所で縮尺を合わせれば、その上に置く什器はすべて実寸(mm)になります。読み替えはこの1回で終わらせ、あとは配置に時間を使うのがこのページの考え方です。
坪・m²・sq ft の換算表
テナント募集の面積は、シンガポール・UAE・マレーシア・香港・英国ではsq ft表記が多く、オーストラリアはm²が主です。本部の稟議は坪、募集はsq ft、図面はm²、と三重になりやすいので、基準をそろえておきます。
- 1坪 = 3.30579 m² / 1 m² = 10.7639 sq ft / 1坪 ≈ 35.58 sq ft
| 坪 | m² | sq ft |
|---|---|---|
| 10坪 | 33.06 m² | 約 356 sq ft |
| 20坪 | 66.12 m² | 約 712 sq ft |
| 30坪 | 99.17 m² | 約 1,067 sq ft |
| 50坪 | 165.29 m² | 約 1,779 sq ft |
| sq ft(募集面積) | m² | 坪 |
|---|---|---|
| 500 sq ft | 46.45 m² | 約 14.1坪 |
| 1,000 sq ft | 92.90 m² | 約 28.1坪 |
| 1,500 sq ft | 139.35 m² | 約 42.2坪 |
| 2,000 sq ft | 185.81 m² | 約 56.2坪 |
※ 1 sq ft = 0.09290304 m²、1坪 = 400/121 m² で計算し四捨五入しています。募集面積が壁芯か内法か、共用部を含むかは国や物件で違います。換算値を客席に使える面積とは考えず、図面の上で確かめてください。
日本の席配置がそのまま入らない理由
1. 物件の形と、動かせないもの
海外の商業施設やショップハウスは、間口と奥行きの比率が日本の標準店と違うことがよくあります。柱・ダクト・排気経路・既存の厨房設備は動かせないか、動かすと高くつきます。先に図面上に置き、そこを避けて組みます。
2. 現地で求められる席の間隔
心地よいと感じる席間やテーブルの大きさの感覚は、国や業態で違います。日本の標準案と、ゆとりを取った案の2つを作って比べると、現地パートナーとの話が早く進みます。
3. 機器の寸法
電源やガスの規格が違うため、厨房機器は現地調達が多くなり、幅・奥行きも日本製と変わります。現地で図面を描いてもらう前に配置を試して当たりを付けておくと、打ち合わせの往復が減ります。
よく使う什器の寸法(目安)
MiseFitsの什器ライブラリの初期値で、日本の業務用什器・厨房機器を想定した寸法です。現地で調達する機器は寸法が違うことがあるので、見積もりの寸法が出たら、什器を選んでプロパティパネルの幅W・奥行Dをmmで上書きしてください。
| 什器 | 寸法(mm) | 海外出店で見るところ |
|---|---|---|
| 客席・レジ・物販 | ||
| 2人テーブル | 600 × 700 | 現地の標準的な天板と比べる |
| 4人テーブル | 1200 × 700 | 2人席の連結か、最初から4人席か |
| カウンター席 | 1800 × 450 | 壁付けなら通路が片側で済む |
| ボックス席4人PRO | 1400 × 1600 | 造作なら現地の見積もり寸法に |
| レジ台 | 900 × 600 | 待つ人の滞留範囲もあわせて |
| ショーケース | 1200 × 600 | 持ち帰り・物販を併設するなら |
| ゴンドラ什器PRO | 1800 × 900 | 小売は本数を変えて通路を比べる |
| 厨房・水回り | ||
| シンク / 二槽シンク | 600 × 600 / 1200 × 600 | 必要な槽数は現地の衛生基準による |
| コンロ台 | 600 × 600 | ガスか電気かで外形が変わりうる |
| 冷蔵庫 / 冷凍庫 | 700 × 700 | 現地調達で上書きする代表格 |
| 作業台 | 900 × 600 | 現地の既製品の幅で並べ直す |
| レンジフードPRO | 1500 × 800 | 既存ダクトの位置から動かせるか |
| グリストラップPRO | 600 × 400 | 要否や形式は現地の基準による |
| 柱(角)PRO | 500 × 500 | 図面の柱に合わせて先に置く |
※ 什器そのものの外形で、椅子を引く分や人が立つ分は含みません。測り方は通路幅と什器のすき間、全138点は什器・設備の寸法一覧にあります。
MiseFitsでの検討手順
- 現地の図面を読み込む。「+PDF / +画像」で読み込みます。PDFは1ページ目が背景になるので、平面図のページを渡してもらいます。
- 既知の寸法1か所で縮尺を合わせる。「縮尺を設定」で、寸法の書かれた2点をクリックしてmmを入力します。できるだけ長い区間を選ぶと誤差が小さくなります。フィート・インチは 1 ft = 304.8 mm、1 in = 25.4 mm で換算します。
- 動かせないものを置く。柱・ダクト・既存設備の位置に什器や図形を置いて印にします。
- 厨房、次に客席の順で置く。厨房が成立するのを確かめてから、残りに客席やレジを割り当てます。
- 通路を測り、面積と席数を見る。
Mキーで通路を測ります。sq ftで見たいときは英語表示に切り替えます。 - 案を分けて共有する。「日本標準」「現地仕様」のようにシートを分け、PNG・PDFか「保存(JSON)」で送ります。
つまずきやすいところ
募集面積を、そのまま使える面積だと思う
sq ftを坪に直して「日本の20坪店と同じ」と判断すると、壁・共用部・柱の分だけ床が足りないことがあります。換算値ではなく、置いた結果で判断します。
日本の厨房機器の寸法のまま決める
現地調達の機器が入らないと分かると、客席まで組み直しになります。見積もりが出た時点で寸法を上書きします。
現地の基準を日本の感覚で読む
避難経路・消防・衛生・バリアフリーの基準は国や都市ごとに違います。シンガポールのSCDF(民間防衛隊)、ドバイの民間防衛局、オーストラリアのNCC(国家建設規準)のように、所管や基準の体系もそれぞれです。日本で通る配置が現地で通るとは限りません。最終判断は必ず現地の建築士・施工会社・所轄当局に確認し、MiseFitsの配置はその相談を具体的にする材料として使ってください。
よくある質問
英語の図面でも使えますか?
使えます。図面は背景として表示し、長さの分かる2点で縮尺を合わせる仕組みなので、言語は関係ありません。フィート・インチの寸法はmmに換算して入力します(1 ft = 304.8 mm)。
現地スタッフや設計事務所と共有するには?
図面データはブラウザ内だけで処理されるので、共有はファイルで行います。見せるだけならPNG・PDF、編集してもらうなら「保存(JSON)」を送り、相手は英語表示の「Open」から開きます。
無料で使えますか?
図面の読み込み、縮尺設定、配置、計測、席数・面積の集計、PNG/PDF出力まで無料・登録不要です。英語表示も無料です。
実寸の縮尺で印刷できますか?
MiseFits Pro(¥1,480の買い切り)で、1:20〜1:200の実寸スケールで出力できます。用紙はA4・A3・A5のほか、北米のLetterも選べます。
現地の法令に合っているか確認できますか?
できません。MiseFitsは各国の建築・消防・衛生・バリアフリーの基準への適合を判定しません。最終判断は必ず現地の建築士・施工会社・所轄当局に確認してください。